ふつうの毎日

へびがゆらゆらと川を泳いでいて、優雅で美しかった。
干からびたミミズを運ぶアリが、逞しかった。
小さな波紋が一斉に広がって、可愛かった。
挨拶する少年が、楽しそうだった。
ぐねぐねと茂った緑の壁に、生命力を感じた。
森の中に光が差していて、ドラマチックだった。
頬に通り抜ける風が、心地よかった。
魚の赤ちゃんが、キラキラと元気だった。
つくってくれたお味噌汁が、おいしかった。
役所の人が、優しかった。
おじいちゃんが生きていた。嬉しかった。
いつもの警備員のおじちゃんを見かけなかった。
ここ最近、ずっと見かけない。
名前も知らない、会話らしい会話をしたこともない、それなのにいつも心地よい気持ちになる、そういう人が今日は街にいなくて、寂しかった。
私の毎日はシンプル極まりない。なにも特別なことは起こらない。起こそうとも思わない。
事件も起承転結もない、淡々としてうっかり寝てしまいそうになる退屈な映画みたいな。
それでいい、それがいい。それを望んでいる。







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