まちの居場所を考える
昨年新しくオープンした、豊橋のまちなか図書館に行ってきました。
豊橋まちなか図書館とその下のemCAMPAS FOOD(食やマーケット)
図書館なのに、交流型。図書館なのに、飲食できる。図書館なのに、BGMが流れている。図書館なのに、子どもが走り回っている。
これまでの「ふつう」を覆すような図書館。
通常、図書館は膨大な数の本が存在しているため、棚の本はカテゴリー別(その中で作者別)に並べてある。借りたい本が決まっている場合には、検索機で概ねどのあたりにあるか検討をつけてそこへ向かう。
大型書店と似たような配置だ。
ところがここのまちなか図書館は「どんな時に読みたいか」「どんなことに興味があるか」といったカテゴリだけにとらわれない配置になっている。
例えば、ティーンゾーンでは「どんな仕事をしてみたい?」のようなコーナーがあって、さまざまな職業の人が書いたエッセイなどが並ぶ。「仕事って何だろう?」のようなコーナーや、「これからの未来を考える」のようなテーマで、環境問題もLGBTも国際もヘイトスピーチのような話題も、ものづくりの本も一緒に並ぶ。
探してた本だけに直線的にたどり着くのではなく、今現在興味のあることの周辺から、さらなる興味へとつながっていく知的好奇心を刺激するような棚の作りになっている。
個人の選書した書店とにたような配置だ。
これは本を管理する側としてはとても大変なことである気がする。タイトル名だけではなく、その本の内容からどのコーナーに置くかを一冊づつ決めるということだから。おそらく流動的な配置であるようにも思える。
大変そうではあるけれど、まちにこんな図書館があったら、小さいころから楽しい本の体験ができるとしたら、それはまちの未来にもつながって行く気がする。
子どもが小さい時、図書館にいくのがとにかく大変だった。声を出すと迷惑なんじゃないか、うるさいと怒られるんじゃないか、お腹が空いたと騒いでも飲食禁止であるためにおやつを与えることも出来ない。
産後に気分転換に図書館で本を借りようとして、子どもが泣き出してしまい「うるさい!」と怒られ涙したという友達のエピソードを思い出す。
シーンとした空気は、荘厳で集中するのにはうってつけかもしれない。だけれど、ときに突き刺さることもある。
まちなか図書館は、下のフロアにはカフェやレストラン、マルシェ、広場があり、一日いても飽きないと思う。私だったら、一日いられる。(なんと、クラフトビールもあった)
何も言うことなく完璧な場所だな、と思った。まちの居場所、ひとの居場所、交流、勉強、体験。カフェに食事、デザートにアルコール。内装はおしゃれで清潔で、ずっと居られる。
ただ、一個だけ気になったのは、公共なのにここまで完璧だと、周りの飲食店やカフェなどに影響はでないのだろうか、ということ。それよりも、このあたりを目指してくる人の母数が大きくなれば問題ないのだろうか。一つの施設で完結してしまう可能性は、、?(もちろん、中にはいっている飲食店やカフェの運営は公共ではないだろうけれど)
大きなショッピングモールが出来て、商店街がなくなってしまったまちは多々存在する。
巨大な資本との戦いには勝てないながらも、便利で画一的な大きなお店より、個性的で小さいお店のほうが好きだという層に支持されて小さなお店は生き残ってきた。
ただ、相手が「公共」となった場合はどうだろうか。そもそも利益の最大化を目指していない土台が違う状況で、ここまで居心地良い場所が出来てしまった場合、それ以上の価値を提供することは出来るのか。
なんていうことを考えていたら、自分のお店もどちらかというと「そっちより」ではないか、ということに気付いた。STREETCOFFEE&BOOKSの土地は、もともと公共の土地。それを貸してもらい、まちの居場所づくりを担っている(と勝手に自負している。)
そうである場合、やはり自分のお店で完結してしまうような仕組みではいけないのではないか。すべてが揃っていてはいけないのではないか。利益が出ないとやっていけない事にかわりはないけれど、ちょうど良いさじ加減での引き算をしないといけないのではないか。(もちろん、現在の規模では意図的ではない引き算が大いになされているのだけれど)公共の地を貸してもらっている以上、金額やメニュー構成も、自分のお店を良くすることだけが全てではないく、周辺との兼ね合いも考慮する必要がある。(もちろん、自分のお店を魅力的にするのはとってもとっても大切ではあるけれど)
なんて難しいことを考えつつも、私は私に出来ることをコツコツやるのみだ、とも開き直っている。
明日も、美味しいコーヒーをいれる。明日も、目の前の人の幸せを願う。それだけは変わらないこと。そこがブレないうちはきっと大丈夫、と自分に言い聞かせる。
寒い冬もあとすこし。今週はどんな週になるかなあ。雪は降るかなあ。今日からまた1週間頑張りましょー◎
あ、写真は全然関係ないけれど、東京のかもめブックスです。ここの棚の配置がとっても面白くて、まちなか図書館に来たらそのことを思い出したので。あぁ、また、行きたいな。
「周辺も含めた集客装置になるのか、周辺の受注まで受注してしまうのか」ってことですね。
なるほど。。今度聞いてみよう。