冷蔵庫煩い

暑い。
至る所に不具合が生じる。
中でも一番大きなのは冷蔵庫が壊れないか問題。
コンテナの中の冷蔵庫は、設置条件があまり良くなく、この時期はほうっておくと故障寸前の状態になる。
空気を流したり、室内をできる限り冷やしたり、放熱の方法を考えたり、毎日頭の中の9割5分は冷蔵庫のことで占めている。定休日も閉め切りにならないよう換気したり、朝、昼、夕、と様子を見に行ったり、ときには3時間ほど密室で冷蔵庫と二人っきりになり、冷蔵庫の気持ちになってみようとともに時間を過ごす。
冷蔵庫のことで頭の中がいっぱい。(恋煩いって、こんな感じか。)
人間の身体は、環境によって多少は順応できるようになっている。(順応するのが難しい体質の人もいる、というか、順応しにくい感覚器官は人それぞれ異なるから、視覚や聴覚や嗅覚など、どの感覚器官は鈍感でどの感覚器官は敏感なのか、ということではあるが)
機械は、最初に製造の時に想定した条件を外れると、まったくといっていいほど、性能を発揮できなくなる。40度の密室で使用されることを想定していない彼は、いま非常事態のさなかにいる。
誰かにとっては非常事態でも、無関係な誰かにとっての世界は通常運転で、例えば物価が上がって非常事態な人がいれば、まったくもって通常運転な人もいる。その、通常運転の人たちが、非常事態の人たちの気持ちを慮るのはけっこう難しいのかもしれない。というか、そもそも気付かないのかもしれない。
自分にとっての”目に見える影響”が出てくるまで。
梅雨が短ければ、どのような人たちにどのような影響が出るのか。夏が暑ければ、どのような業種がしんどくなるのか。冬が寒くなければ、誰が嬉しく、誰が困るのか。どんな業界に、どんな変化があるのか。子どもたちは?おじいちゃんおばあちゃんは?どんな体質の人に、どんな影響がある?
なるべく、非常事態になっている人の声を聞きたい。聞いたからと言ってなにか出来るわけでもないけれど、もし可能ならあらゆる人の地球環境や便利の発展、経済などに対する影響を聞いてみたいなあと思う。
きっと思いも寄らない誰かの”非常事態”があって、それをほんのちょっと知るだけでも知らないよりは随分といいような気がする。
寝ても覚めても冷蔵庫のことばっかり考えている。冷蔵庫煩い。
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コメント2件
まさか冷蔵庫の話から「社会への関心」までたどり着くとは思いませんでした。
冷蔵庫への恋煩いみたいな描写にはおかしみがありつつ、
「気づいていない誰かの非常事態」まで想像しているところが素敵ですね。
この夏も、乗り切りましょう
たぶん「煩い」は「わずらい」と読ませる意味で書かれているのでしょうけど
「煩い」は「うるさい」とも読みますね。
この文章を「うるさい」と読むか「わずらい」と読むかで、全体の雰囲気が変わってきます。
ただ「うるさい」と読むと物理的に「うるさい」と、文章に書かれているように、脳内を占めている様子の「うるさい」と、更に2種類の捉え方ができる。
どう捉えるかは受け手次第のご時世。
ふと、そんな思いがよぎったので、今回の本筋ではないでしょうが、コメントまで。