変わらないために、変わり続ける
変わらないために、変わり続ける必要がある。
最近、そんなことをコーヒーから学んだ。
日々の中で変化しないものはほとんどない。
空気だって、景色だって、人間だって、おけらだって、昨日と今日はまったく同じではない。
コーヒーは、同じ豆で、同じ温度で、同じ湯量で、まったく同じ淹れ方をしていたら、昨日とまったく同じコーヒーが出来上がるわけではない。
それは、コーヒー豆自体がそもそも変化しているから。
焙煎後24時間の豆と、48時間の豆は、そもそも同じものではない。
同じではないものを、同じ淹れ方で淹れても、同じものが出来上がるはずがない。
変わらないものを提供するためには、日々の外的要因を計算に入れ、自分自身を変えていく必要がある。
STREET COFFEE&BOOKSになってから取り扱っているコーヒー豆は、とても繊細だ。
些細なことが、大きく味を左右する。以前にも増して、安定した抽出が難しいと感じる。
自分が自分に課しているレベルに到達できていないことに、打ちのめされ、苛立ち、出口の見えないトンネルを歩いている感覚になることがある。
とんでもなく、深く長い道を選択してしまったのではないかという気持ちになる。
だけれど、それはすなわち、楽しさでもある。
簡単には攻略出来そうにないもののほうが燃える、というのは人間の性かもしれない。
今、自分が一生懸命勉強したいこととしては、コーヒーのことはもちろん、公共空間のこと、街のこと、本のこと、言葉のこと、など多岐にわたる。どれをとっても【一生かかっても攻略できそうにない】ことばかり。
それぞれにスペシャリストと呼ばれる人がいて、そんな人達の発した言葉や文章をなぞるだけでも気が遠くなるほど膨大だ。
コーヒーひとつとったって、ドリップのこと、エスプレッソのこと、ラテのこと、豆のこと、ローストのこと、それぞれ細分化されたスペシャリストがいる。
週に数時間しか自分に時間がとれない現状を考えると、果てしない道のりに途方に暮れる。
だけれど、日々、1ミリでもいいから変わり続けなければ、【自分が今できるベストを提供し続ける】事はできない。
【自分が今できるベストを提供し続ける】という目標が変わらない限り、自分自身が変わり続けなければいけない。
学び続ける、考え続ける、感じ続ける。
その先に何があるのか、何もないのか、今はまだわからない。
だけれど、とんでもなく、深く長い道を進んでみようと思う。
コーヒーは、ときにいろんなことを教えてくれる。コーヒーに出会えたおかげで、コーヒーがもたらしてくれた物たちのおかげで、この人生は、より、面白くなったと思う。
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