壊して直して

ちょっと捻ったら、直るかな?
などという、ほんの少しの出来心で、先週はエスプレッソマシンのスチームノズルをねじり切ってしまった。いわゆる破壊である。
”ちょっと動きがゆるいから、少し締め直そう”と、ミルクを温めるところの根本をぐいっと捻ったところ、思いの外ぐいっと捻ることができ、”ああ!緩んでいたんだね!”などと思い込み、もう一度ぐっと捻ったら、あっけなく金属のネジが引きちぎれた。
え?、、え?、、???そんなことある?
慌てて業者に連絡し、ことの成り行きを話し、「いやいや、いくらなんでも金属のごついパーツが人間の手でちぎれるわけないですよ、ちょっと見に行きますね」と来てくれて、「えーっと、ちぎれてますね。」といい、なんというか、お互いに顔を見合わせて笑ってしまった。
なんとも幸運なことに、たまたま破壊してしまったパーツを業者さんが持っていて、その場で交換してくれて、破壊から4時間あまりですっかりと元通りに直った。最低1週間はダメだろうと思っていたのに、その場で直ったなんて幸運すぎる。
びっくりするくらい高い勉強代ではあったけれど、12年くらい付き合っているエスプレッソマシンのことを一つ知れた瞬間だった。もう無理には捻らない。だめ、ぜったい。
自分でも、ときどきよくわからないびっくりするような失敗をすることがある。
いやいや、冷静に考えたらわかるでしょ?というようなことを、うっかり?無意識に?やってしまい、自分のバカさに呆れを通り越して笑えてくるような、そういうこと。
いくつのものを壊してきてしまったのだろうな、と思う。いくつもいくつも壊してきてしまったのだろうな、と思う。
自分の手でそうしてしまったもの、気付かずに踏みつけてしまったもの、解体して元に戻せなくなってしまったもの、諦めてしまったもの、そっとそのまま置いてあるもの。
いつの日かすべてのものを、丁寧に、優しく、扱える日はくるのだろうか。この先も、壊し続けながら生きていくのか。壊しながら、直しながら、修理したり、諦めたりしながら生きていくのだろうな、きっと。
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