リアル店舗と長期的信頼関係

先日、ある張り紙にとてもドキリとした。

雑貨店の入り口に注意事項の張り紙で【購入するお客様だけ入店可能です】という記載。

この文言に、小心者の私はちょっとビビってしまったのである。言いたいことは、とてもわかる。コロナ以降、なるべく密な状態を避けたい、不特定多数の人の長時間滞在は避けたい、など。お店側の主張が「真っ当な正しさ」を手にして、これまでいいにくかった制限をしやすくなった。

とはいえ、私の場合、雑貨店において購入の意思決定は、商品を手にしてアレやこれ悩んだり、実物を見て一目惚れしたものだったりするので、どちらにしても「商品と出会ってから」ということになる。

お店の入り口で「購入の意思の確認」というのは(もし欲しい物がなかったらどうしよう、何かしら買わないと出られないのではないか)などという小心者ならではの心配事を喚起させたのだった。

また、別の話ではあるが、似たような出来事が小さな本屋さんにおいての「立ち読み」についても起きていて、「長時間の立ち読みは迷惑」「どうせ買わないんでしょ」とはっきり伝えた店主に対して「お客側からの反論」「外野の援護射撃」のオンパレードでツイッターを賑わせていた。

この一連の流れを見て、誰が悪いわけでもないけれど、やるせない気持ちになった。

オンラインが主流になってくるであろうこれからの「リアルな店舗」というのは、実物を手にとって質感を確かめたり、中身を確認出来たり、自分に似合うか合わせてみたり、五感で感じたり、体感することがメリットとなる。オンラインだけではわからない類の確認ができるのは大きなメリットである。

店舗で実物を見て、他のオンラインサイトで購入してしまうかもしれない、という可能性がありながらも「お店の存続を望むのであれば、きっと自分のお店で購入してくれる」という「信じる気持ち」で成り立っている。

急いでいたり、絶対に手に入れたい本は「amazon」してしまうかもしれないけれど、そうではない部分できっとお店を応援してくれている、とお客さんを信じる気持ち。お客さんは「信じられていること」を肌で感じて今回は購入を見合わせたとしても、また来たときには「歓迎されると信じる」からこそ成り立っている。

お店を営む、ということは「自分自身が半分パブリック」になることでもある。半分パブリック、とは100%を自分の主観で埋めないこと。相手の自由というスペースを確保しておくこと。

お店はお客さんを選べる、とはいっても、一方的な選び方をするのであれば、それ相応の理由が必要。主張が強いお店も、それによって空気や秩序が整っているお店も、それはそれで守られている空気が存在するわけで、そこが好きではあるけれど、そこからはみ出してしまう人からの反論を宥めるための真っ当な理由は述べたほうがいい。(真っ当な理由、というところがまた難しいものではあるが)

お店側だけでなく、お客さんとの相互関係で「お店の空気」をつくっていくもの、だとしたら信頼し合う気持ちはやはり大切だ。長期的な信頼関係を築くには、先に自分の方から相手を信頼する、という賭けが必要な気がする。

お店側が自ら信頼関係を築くチャンスを逃しているとしたら、それは惜しいことではないか。

ただ、一つだけ言えることは、どんな方法であっても、店主は自分のお店を守りたいという気持ちで一生懸命試行錯誤している、ということ。そこには、必ず愛があること。正解はないということ。

人のこと、お店のこと、コーヒーを淹れるという行為について、街に生きる人について、人間関係について、社会について、そして自分自身に向き合うことについて。日々考えるべきおもしろいことがたくさん溢れてきて、最高です。

やはり、人生はおもしろい。

今週も、いろんなことを感じながら、いろんなことを考えながら、コーヒーを淹れようと思います。今週も頑張りましょー♪

2022年04月18日 | Posted in お店のこと, ブログ, 最近の出来事 | | 2 Comments » 

関連記事

コメント2件

  • 松島 馨 より:

    雑貨店の張り紙、私もビビってしまいそうです
    入り口のドアを開けるタイミングで張り紙を見つけたならドアから手を放してしまうかも
    張り紙のせいで衝動買いや一目惚れで買われるお客様の機会を逃してしまっていたのなら もったいない話しですね
    小さな個人のお店なのでしょうか、万引き被害に悩まれていたのかもしれません
    小心者の私は店主と一対一になると何か買わないといけないかな、と思ってしまうので、他にもお客様がいる時にお店に入る様にしていますw

    本屋さんの問題も悩ましいですね
    座って読むのはもちろんダメですが、何分以上が長時間なのか、本を開けない様にカバーをするのも違う気がしますし、「これから買う本を読んで何が悪い!」と店員さんと揉めているのも見た事がありますよ

    服なども実店舗で試着してネットで買う、なんて人も一定数いるでょうから、店舗も自分のお店で買って貰うのに何らしかの努力が必要なのでしょうね

    STREET COFFEE&BOOKSにおけるコーヒーの代金いつ払うか問題?w
    これは今の「お客様のタイミングに合わせる」が全ての人にストレスフリーでイイ感じだと思います
    私は飲み逃げしない様に気を付けますw

    • NOZOMI より:

      松島さん

      立ち読み問題、う〜ん。。
      「本をどう定義しているか」にもよりますよね。
      「物質」を重視しているのであれば、他人がベタベタ触った本は嫌だろうし、
      「綴られた言葉」を重視しているのであれば、お金を払わずに中身を読むことは少なからず「不当に得ている」とになってしまう。

      だけれど、本という物質を通して、誰かから誰かへののメッセージとしてこの世界に残しておくべきだ、一人でも多くの人に伝えるべきだ、という役割の一端を
      担っているのが「本屋」だとしたら、唯一それが許されるのではないか、とも思いも。

      代金、いつ払うか問題。笑
      盛り上がりすぎると忘れるので、楽しくなりすぎに注意します。笑

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です