JIWAJIWA STYLE
STREETCOFFEE&BOOKSは、その名前の通り、本とコーヒーが楽しめるお店である。
「本を並べる」ということは、お店から社会に対するメッセージであったり、お店の方向性を示す指標。
誤ったメッセージの伝達を避けるためには、むやみに置く本を選択するわけにはいかない。かといって、ぜんぜん更新しない本棚は楽しくない。本を入れ替えたり、そのためにせっせと読んだりしているけれど、情報には一向に追いつけない。本を扱うということはなんとも忙しいことだなあと3年弱にして思い知った。(そのうえ、本の利率は驚くほど高くない)
それでも、こうして本を並べていると、ときどきとても嬉しいことが起こる。
「こういう本が好きであれば、あの本も好きそう!」と、知らなかった情報を与えてもらえたり、近しい思考の方が寄ってきてくれたりする。それに、本を扱うということは、誰かの生き方の一端に作用する可能性がある。
その結果、社会がほんのすこし和やかになったり、誰かの心をほぐすことが出来たら、この上ない幸せだと思う。
先日、出張でふらりと立ち寄ってくれた方が、本棚と空間をみて伝えてくれた言葉が沁みた。
「本当の利他的なことは、究極の利己に他ならない。誰もやりたがらない、競争する必要がないから、ビジネスにおいても結果的には理にかなっている。頑張ってね。」
心底、救われた気がした。
私はコーヒーや空間を通して、社会や地域にとっての「受け皿のような形のもの」になりたいという思いでお店を営んでいる。通常の資本主義の中から零れ落ちそうになってしまう人も、そうじゃない人も、必死に生きている人も、必死に生きたいと思っている人も。大きな海で泳ぎ続けている人を、両手でそうっと掬うための装置が街の中に必要だと思うから、それをしたいと思って日々お店を開けている。
それは誰かにとっての「良い」ではない可能性もあるし、別の誰かにとっては不都合になることもある。必要ではないことだと判断されることもある。どうでもいいことだと思う人もいる。
「すべての人を受けいれる」ということを「欲深い」と囁かれることもある。自分たちの言動を見た上でそう判断されるのであれば、それはもう仕方のないことで、自分の力不足であることを認めざるを得ない。悔しいけれど。
すべての人に好かれるなんて、そもそも無理なことを承知の上で、それでも自分が大事だと思うことをじわじわやっていくしかない。時間がかかることを、時間をかけてやっていくしかない。
言いたいことを言える、おかしいことをおかしいと言える、そういう場所を街の中につくる。そのためには、自分がまずは「おかしいよ」と思うことに対して、声をあげないといけない。
私はコーヒーを通して、社会を変えたいのかもしれない。目の前の人に笑いかけることと、社会を変えることは、無関係ではないはず。悔しさが気付かせてくれることに感謝をいだきつつ、明日も頑張ろう。
「人生とは表現だ 生きるとは表現だ」「表現とは、世界を変えたいという意志だ」と、久しぶりに開いた’’受け入れない/園子温’’の言葉に勇気をもらう月曜の夜。
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コメント4件
出張で寄ってくれた方の様な言葉は伝えられないけれど…「素敵な本に出会わせてくれてありがとう」、これだけは伝えたい
これは私の為に置いてくれたのかしら?って本に出会うと嬉しくなる
先日、読み進めると涙が溢れ出て止まらなくなる、そんな本に出会えた
気持ちが楽になる、心が軽くなる、本のパワーを実感した
コーヒーを通して社会を変えたい…
素敵な考えです、本の力と居心地の良い空間の力も借りたら実現出来そうですよね
お店に並んでいる本は、
私にとって興味深いモノが多いですよぉ♪
そもそも本をあまり読まない私が、
street coffee&booksに出逢い、
のんちゃんと出逢い
4冊も読んだからね!!
たった4冊かもしれないけど、
書店のようにたくさんの本が並んでいたら、
きっと手にも取っていないかもしれない。
SNSでチラっと紹介してくれるのも、
ありがたい。
standardとの出会いも。
あれから定期購読するぐらい(笑)
おかげですこーし視野が広がったかも⁉︎
いつも感謝です。